【助成報告】桑原志織 モンテプルチャーノ&ザルツブルクモーツァルテウム夏季国際ピアノアカデミー参加

この度福田靖子賞基金からご助成頂き、8月2日から23日までイタリアAcademy The Palazzo Montepulciano と、ザルツブルクのモーツァルテウム夏期国際音楽アカデミーを受講して参りました。
モンテプルチャーノアカデミー前で
まずはイタリアへ。フィレンツェ空港から車で2時間、モンテプルチャーノという街へ向かいました。ここで、近現代曲の名手マルクス・ベルハイム先生のご指導を仰ぐためです。先生の素晴らしいCDを偶然東京で耳にして、この講習会への参加を決めました。 

モンテプルチャーノはトスカーナの高台にあり、絵本から抜け出てきたような素敵な街です。アカデミーは山の頂上にあり、かなり急な坂を登って通学します。石畳に石造りの家、城壁のような門やトンネル…中世の姿がそのまま残る美しい街並みを歩くとタイムスリップしたようで、疲れなど忘れてしまいます。
自由時間の練習室
講習会スケジュールに一晩ワイン蔵での試飲会が組まれるほど、ここはワインの名産地でもあります。(私は未成年なので、このイベントは残念ながらパスしました。)


レッスンは、一週間の滞在中4回あり、先生のパワフルな実演を寸分たりとも見逃すまいと、毎回必死でした。レッスン会場は天井の高いホールでしたので、先生と自分の響きの違いが如実にわかり、常に音に意識を向けて学ぶことができたように思います。 

ベルハイム先生と
最終日夜の受講生コンサートで、私はペトルーシュカを弾くよう言われました。まだステージでは弾いたことのない曲でしたが、本番では思い切りよく弾け、会場に集まったお客様からも温かい拍手をたくさんいただき、1週間ベルハイム先生のもとで勉強した手応えを感じることができました。
最後の夜は、ピアノ、弦、声楽、全ての受講生が街のレストランに集い、夜更けまで語り合いながら親睦を深めました。



翌朝、次なるレッスンの地ザルツブルクへウィーン経由で向かいました。ところが、ザルツブルク空港で人生初のロストバゲッジに遭遇!スーツケースがないままヒヤヒヤした一夜を過ごし、翌日はいきなりオーディションです。私の希望したマッティ・ラエカリオ先生クラスは、希望者が多すぎたため、約半数に絞る厳しいオーディションが行われました。緊張が走りましたが、合格者の掲示で無事名前を見つけてほっとし、ホテルに戻ると、空港から無事スーツケースも届いていて安堵いたしました。

ラエカリオ先生と
レッスンでは様々な曲をご指導いただきましたが、特にテクニカルな場面で、どのポイントで脱力するか、体中が完全に脱力できる方法、無駄を省いた一貫性のある合理的な腕の動かし方等、先生独自の奏法を伝授してくださいました。実際真似してみると、劇的に弾きやすくなったのには驚きました。その他アナリーゼ的なアドバイスや、キャラクターの捉え方、ソステヌートペダルとダンパーペダルの両用法等、毎回多角的にアプローチしてくださり、とても刺激的な素晴らしいレッスンでした。先生とは今回初対面で、日本人は私一人だったのですが、温かくユーモアー溢れるお人柄で、すぐ打ち解けることができました。 

他の先生のクラスにも足を運び、聴講させていただきましたが、特に印象的だったのが、アリエ・ヴァルディ先生クラスです。生徒の演奏が終わると、皆が椅子ごとピアノに近づいて先生を囲み、作曲家の人生や曲のバックグラウンドについて、活発に意見を出し合い、ディスカッションしながら作品を深めていきます。受講生もそれぞれ高い見識を持つ人達で、先生の含蓄あるお話をきっかけに、音楽へのパワーが結集していくような興味深いものでした。レッスンがオープンなことも講習会の良さ.なのだと思いました。
ザルツブルク祝祭大劇場前

ちょうどザルツブルク音楽祭開催中でしたので、憧れていた、ムーティ指揮ウィーンフィルや、オペラ「薔薇の騎士」を鑑賞しました。鮮やかで気品のある音楽、美しすぎる舞台に釘付けになり、感激のあまりその夜はなかなか眠れませんでした。街全体に芸術が息づき、安全で、快適な環境のもとピアノに
専念し、充実した日々を過ごすことができました。秋以降の演奏会で、この夏学んだ成果を発揮していけるよう、さらに精進してまいります。 改めて、福田靖子賞基金のご支援に心より感謝申し上げます。