レポート:岡部 那由多
私は高校1年生の時から室内楽に取り組み、今年4月には福田靖子賞基金のご支援のもと、若林顕先生・鈴木理恵子先生の室内楽研究会に参加させていただきました。また、5月にも松岡美絵先生と福田靖子賞基金の合同主催で、吉本梨乃さん(Vn)とのデュオ企画という貴重な機会をいただきました。
最近ではピティナ特級セミファイナルをはじめ、国際コンクールでも室内楽の審査が加わるものが多くなってきました。そうした背景からも室内楽をより深く勉強したいという気持ちが強くあり、さらにこの先ベートーヴェンのソナタを弾くためにも室内楽は絶対に必要だと感じていたところ、ヴァイオリニストの堀米ゆず子先生にお声がけをいただきました。そこで、昨年からデュオを組んでいる松木翔太郎さんと一緒に、イタリアのブレシアで開催された「第11回 Talent Summer Courses and Talent Summer Opera & Festival 2026」に参加してきました。
8月26日から5日間、イタリアのブレシアで過ごしました。このマスタークラスは世界的な演奏家や教授陣による複数回のレッスンと、期間中に開催されるたくさんの演奏機会がセットになったプログラムで、7月6日から9月26日まで延べ800人が訪れました。
毎日4時間の合わせ練習があり、空き時間には指揮やオペラ、チェロ、声楽など他の楽器の聴講も自由です。
滞在したホテル(ラ・フィランダ)は会場から徒歩2分ほどで、先生方も同じホテルに泊まられていたのでとても安心でした。
ただ、3日目の朝はとても寒く、大砲の音と勘違いするほどの大きな雹の音で目覚め、日中はものすごい暑さに見舞われ、気を失いそうになるなど予期せぬ環境変化もありました。
日頃から本番に向けた体調管理には気を付けていますが、海外での限られた滞在期間中、大切なレッスンや演奏会に向けて体調を崩さずに過ごすことは、日本にいるとき以上に身が引き締まる体験でした。環境の異なる海外では、その何倍も慎重さと徹底した意識が求められるのだと実感しました。
ブレシアはイタリアのマルペンサ空港からは車で1時間半程度、練習帰りに駅前の探索をしても治安は悪くなく、公園では毎日遅くまでスポーツを楽しむ家族が多かったのが印象的でした。
レッスンでは、9月のデュオリサイタル用に準備していたベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第7番(全楽章)と、滞在中の演奏会用に用意していたR.シュトラウスのヴァイオリンソナタ Op.18(第1楽章)を主に見ていただきました。
指導内容は、共演者が今何をしているかを常に把握すること、ピアノは音数が多く和声の変化がわかりやすいため、それをしっかり音にして共演者に届けること。また、ピアノの打鍵速度とヴァイオリンの弓の速度に合わせた呼吸の使い方、音が減衰するピアノとクレッシェンドができるヴァイオリンという楽器の仕組みの違いを踏まえたアプローチ、ソロとは異なるアンサンブルでの低音・高音のタッチの工夫など、どれも高度でしたが、先生の比喩が面白く、次から次へと新しい発見や学びがありました。
さらに、レッスン時間以外にも先生とのお食事の機会をいただき、音の響きについての技術的なご指導にとどまらず、音楽家としての精神性や心構えについても深いお話を伺うことができ、心に響きました。
演奏会では桐朋の先輩や、赤松林太郎先生にもばったり!お会いしお話を伺うことができました。
最終日はフライトまでの時間を利用して、前々から行きたかったクレモナ(前日にものすごい竜巻でニュースになっていた!)へ行ったり、ミラノの美術館を巡って作曲家と関係のある絵画や彫刻を観たり、教会へ行ったり、ヨーロッパの文化や芸術に直接触れることができました。
日本で観に行くのと違い、まずは目的地までの電車の切符はどう買うかというところから始まり、スーツケースを預けるにはどうしたらいいか、施設の予約はどうするのか、日本のルールは通用しないので何をするにも自分たちで考えて行動する必要がありました。音楽を学びに行くだけでなく、異国で一つひとつの行動を自分自身で判断して対処していく過程も、生きていく力を養うとても大きな経験になりました。
今回のイタリア滞在では、高度なアンサンブルの技術だけでなく、海外での体調管理や現地での行動力など、演奏家として生きていくための重要な基盤を学ぶことができました。
高校生という大切な時期に、日常的にデュオやアンサンブルに取り組める素晴らしい環境にいられることに心から感謝しております。
イタリアで得たたくさんの学びと経験を、今後のソロや室内楽の演奏活動にしっかりと活かしていきたいと思います。
温かいご支援と貴重な機会をいただきました福田靖子賞基金の皆様に、深く御礼申し上げます。
ありがとうございました。





















































