ドイツを代表する世界的なオーケストラ、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽メンバーを講師にお迎えした室内楽研修を、8月27~28日にわたって実施しました。講師は、それぞれに演奏活動の第一線で活躍しているコンサートマスターの青木尚佳さん、ヴィオラのコンスタンティン・ゼルハイムさん、チェロの三井静さん。今回の企画はドイツ在住のピアニスト、保屋野美和さんがご尽力くださり、当日もピアニストの観点からの講師を務めてくださって実現したものです。
モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番・第2番を使い、2日間みっちり全楽章をお互いに聞き合い、ピアニストにはなかなか実感をもって理解しづらい「アンサンブル」の意義と楽しみを、様々な角度から四者四様に教えていただき、最後には全員と1楽章ずつミニコンサート形式で共演という贅沢な時間。皆がお互いにすべてのレッスンを聴き合ったこともあって、非常に濃密な時間となりました。
第一線で活動している講師の皆さんは、朗らかで楽しい雰囲気を作って生徒たちの音楽の良いところをたくさん褒めてくださる一方で、ひとたび楽器に向かえば妥協なく良い音楽を追い求めて意見を出し合います。学習途上の受講生たちにとっては、「音楽する」という共通目的のもとに、皆で目指したい方向に、音と表情とわずかな会話だけを使って短時間で自ずから到達していくプロフェッショナルでハイレベルな仕事も大きな刺激になった様子です。
基金では今後、他楽器とのアンサンブルの学習機会も積極的に企画していきます。