【助成報告】桑原志織さん(第6回優秀賞)をアロハ国際ピアノフェスティバルに派遣

教授陣の先生方、参加者と
桑原志織さん(第6回選考会優秀賞、東京芸術大学1年)を、ハワイで行われたアロハ国際ピアノフェスティバルに派遣いたしました。同フェスティバルは、アカデミー・コンサート・コンクールを備えた総合的なピアノフェスティバルで、中道リサ先生(全日本ピアノ指導者協会正会員)が主宰され、今年も、ジョン・ナカマツ氏、フレデリック・チュウ氏ら、個性的な教授陣をむかえて、盛大に開催されました。桑原さんによる参加レポートをご紹介します。


<桑原志織さんによるレポート>


私は6月10日から1週間、ハワイのホノルルで行われたアロハ国際ピアノフェスティバルに参加いたしました。このフェスティバルはマスタークラスとコンクール、そしてコンサートが一体となった素晴らしいもので、ハワイコンベンションセンターにて開催されました。

私は大学の授業の関係で現地入りが遅くなったため、ホノルル空港に到着してから3時間後にはジョン・ナカマツ先生のプライベートレッスンを受けていました。コンチェルトをみていただきましたが、何度も出てくるテーマの変化のつけ方やテンポのもって行き方等、演奏家の先生ならではの実践的なアドバイスを数多く頂くことができました。

ハワイの絶景
レッスンの後、フェスティバルのスポンサーの方のお宅で開かれるパーティーへと急ぎました。関係者の皆様が集う中、光栄なことに私はこちらで演奏することになっていたのです。お城のような大豪邸で美味しいディナーを頂いた後、広々とした瀟洒なサロンへ…。ハワイに着いてまだ数時間での本番でしたが、お客様の温かな雰囲気を肌で感じながら楽しんで演奏でき、素敵な時間を過ごしました。

その後もレッスンやコンチェルトコンペのための伴奏合わせ等が連日行われ、毎日が充実していました。特にフレデリック・チュウ先生のレッスンは印象的で、音楽と心理学を専攻されたという先生らしく、演奏のポイントを、聴き手の心理的側面から興味深く指導してくださいました。

主宰の中道リサ先生・各部門入賞者と
数日間に渡るアカデミーのレッスンが全て終わったあと、いよいよ最後の2日間はコンクールです。ソロ部門では古典から近現代まで30分のプログラムを、コンチェルト部門ではチャイコフスキー第1番第3楽章を演奏いたしました。結果を待つ間、色々な方が声をかけてくださり大変嬉しかったです。私は両部門共に1位を頂き、翌日の受賞者コンサートでは最後に演奏させていただきました。今年12月には、ハワイのNeal Blaisdell コンサートホールで、オーケストラとコンチェルトを共演する機会を頂き、大変嬉しく思っております。

休憩時間には、澄み渡る空の下でハワイの爽やかな風を浴び、美しい大自然からエネルギーをたくさん頂きました。様々な国のコンテスタントとも友達になり、皆でピアノを演奏することを心から楽しみながら、互いに親睦を深めることができました。このフェスティバルそのものが、音楽を純粋に愛する精神に溢れていることを実感いたしました。

大変お世話になりました主宰の中道リサ先生、日本から講師として参加され、サポートしてくださった上仲典子先生、そしてこのような素晴らしいフェスティバルに私を派遣してくださいました福田理事長、加藤様に、この場をお借りして改めて心より感謝申し上げます。

【助成報告】韓国でのソウル国際音楽祭フリンジコンサートに木村友梨香さん・佐藤元洋さんを派遣



5月22日に韓国・ソウルで行われた、ソウル国際音楽祭の関連企画「Fringe Concert」に、当財団奨学生の木村友梨香さんと佐藤元洋さんを派遣しました。
コンサートでは、ソロのほか、現地韓国のヴァイオリニストとの共演もあり、充実した滞在となったようです。木村さん・佐藤君からレポートをいただいています。

音楽祭ディレクターのGarden Seo氏と

<木村友梨香さん>
5月21日から23日まで、「ソウル国際音楽祭」Fringe Concertに出演するために韓国へ行って参りました。このFringe Concertは音楽祭のなかの企画の一つで、音楽を学ぶ若い演奏家が出演するコンサートであり、ソウルアートセンター近くにあるバロックチェンバーホールにて行われました。

ソウルに到着した日の夜はさっそく、コンサートで共演するヴァイオリンのDongHyun Kimさんとの初合わせがありました。今回の演奏会ではソロのみではなくヴァイオリンとのアンサンブルもあり、海外で言語や文化の壁をこえて音楽で気持ちを通じ合いコミュニケーションをとるということの大切さも感じ、大変貴重な経験をさせていただきました。前日に初合わせで翌日に本番という経験は今まであまり無く、慣れていませんでしたが、短時間で2人で音楽を作りあげていく過程はとても楽しかったですし、何より刺激的でした。また今回ソロでは、韓国の聴衆の方々に自分の演奏を楽しんで聴いて頂きたいと思いから、ショパン「ワルツ第2番」とクライスラー:ラフマニノフ「愛の喜び」という明るく華やかな曲想の2曲を演奏致しましたが、本番では演奏を終えてたくさんの拍手をくださり、そのあたたかな聴衆の方々の反応にとても嬉しい気持ちになりました。少しではありますが韓国の方々と交流することが出来たなと感じた時間でした。

3日間の滞在であまり観光は出来ませんでしたが、最終日にはスタインウェイの入ったレコーディングスタジオを見学したり、また美味しい韓国料理もたくさん頂き、大変充実した3日間となりました。ディレクターのGarden Seoさんをはじめスタッフの方々、練習室をおさえるために連絡を取り合うなどお世話してくださったDongHyun君のお母様、また派遣してくださった福田専務理事様、加藤様、貴重な経験をさせていただいき感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。今回の経験を今後の音楽生活にも生かしていきたいです。

<佐藤元洋さん>
韓国のヴァイオリン・ヴィオラ奏者とも共演
今回は、ソウル国際音楽祭のなかの企画演奏会「フリンジ・コンサート」に派遣していただきました。
僕にとって海外での演奏会出演は初めてのことでしたので、どんな刺激を受けられるか、とても楽しみでした。とはいえ経験のないことばかりでどうなるのか……少しの不安も抱えながら、韓国へ飛び立ちました。

今回の演奏会は、ソロはもちろんですが、韓国のヴァイオリニストとのデュオ、というプログラムが組まれていました。さっそく1日目(とはいっても演奏会前日)の夜から、合わせをしました。若手とは聞いていましたが、そのヴァイオリニストは15歳。それでも合わせをはじめた瞬間から、才能と音楽の説得力を感じました。僕が一緒に演奏したのは、シューベルトのヴァイオリンソナタでした。英語で会話をしながら、お互いに音楽の流れや音の色を確認しあいました。
次の日も、朝からリハーサルです。会場に向かう途中、ヴァイオリンの彼は楽譜屋へ。なんだろうと思っていたら、「今夜のアンコールピース」とのこと。急遽僕が伴奏を務めることになりました。パガニーニの「カンタービレ」…シンプルで美しい曲ですが、合わせるとなるとお互いを理解しなくてはいけません。楽譜もパート譜しかなく、必死に打ち合わせをしましたが、あとは本番でという形に……。

そして夜の演奏会を迎えました。まずは自分のソロ演奏、お客様は真剣に耳を傾けてくださいました。反応も日本とは違い、ストレートな印象を受けました。リストを演奏し終えた時は、会場が熱を帯び歓声が上がり、これは日本ではなかなか経験できないことだなと思いました。
続いてのデュオでは、限られた時間ではありましたがそのなかでつくりあげたシューベルトの音楽を、納得いく形で届けることができました。アンコールピースも、完璧ではありませんでしたが純粋にアンサンブルを楽しむことができました。どれも自分にとって大切な時間だったように思います。

音楽祭のパンフレット
3日間の滞在で、多くの「初めて」を体験し、一番強く感じたことは、国や民族を越えられる音楽の力でした。特に今回は、作曲家が残した素晴らしい楽曲を一緒につくりあげるという過程を、現地の方と経験させていただきました。その中で音楽の普遍性や偉大さを改めて実感し、言葉や時間を越える力を音楽で感じました。本当に貴重な経験でした。
また、スタッフの方々をはじめ、多くの方にとてもお世話になりました。みなさん音楽に関わる方で、色々なお話を聞くこともできました。新しいつながりも生まれ、楽しく有意義な滞在になりました。自分の視野も更に広がり、この経験はきっと今後に活かすことができると思います。もっと音楽で世界とつながっていけるように、今後も努力し活動していきたいです。